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Xi JOURNAL ORIGINAL NEWS

2010.12.20UPDATE

LTEは「家と外でネットを使う無意識の差」を一気になくす

ドコモの次世代高速データ通信「LTE」サービスが今年の12月24日から開始される。サービスブランドは「Xi」(クロッシイ)。今回このニュースを報じた新聞報道は「ケータイで光並みの高速通信」と表現していた。なるほど分かりやすい。そう、携帯で現在の光ファイバー並の速さのデータ通信ができてしまうのが「LTE」なのだ。

iPhoneやAndroidなどのスマートフォンの出現により、ケータイでも出先でほぼPCと同じ環境でネットを利用することができるようになった、とよく言われる。だが本当にスマートフォンは家でPCを使っている時とまったく同じ意識で使っているのか? 実は我々は無意識のうちに外でのケータイでのアクセスと家の常時回線での通信速度の差を感じ取り、違う使い方をしている。

一例としてInstapaperという読みたいページを保存しあとで読むサービスの出現など「自宅の無線LANで事前にデータを一気にダウンロード→外出先はオフラインで読む」などの防御策をとるようになるのだ。それらはかつての「テレホーダイ」環境の懐かしいテクニックを思い出させてくれる。自宅のネット環境が常時接続が当たり前になり、ブロードバンド回線が普及していくにつれこの手の「オフライン接続のテクニック」は衰退していき、クラウドなど常時接続を前提としたサービスに変化していった。

私は今回発表されたLTEが、この「家と外でネットを使う無意識の差」を一気になくす可能性を秘めていると思う。そして、このLTEがきっかけになり今後提供されるサービス・アプリが変化する、と予想している。そこで「LTE」の出現によって、今後どんなケータイ向けサービスが登場していくのか、筆者の願望も混ぜつつ予言していきたいと思う。

【合法的なP2P配信サービス】

P2P配信サービスといえば「他人の著作物をやり取りする違法なもの」だが、P2P配信技術自体は別に違法ではない、将来有望なコンテンツ配信技術である、というのが前提だったはずだ。その技術的メリットは合法サービスとしても十分魅力的なものだと筆者は信じている。

そこでP2P配信技術とコンテンツ検索技術を組み合わせた、ケータイ向け自動ダウンロードサービスはどうだろうか? ユーザーは自分の興味のある特定のキーワード、例えば「木村カエラ」を入力しておく。すると自動的に「木村カエラ」に関連する楽曲、動画などが検索され、ケータイ端末の中に自動ダウンロードされる。

課金は「キーワード」ごとに行う。例えばキーワードが1つなら月々600円、3つなら月々1800円といった具合だ。著名人コンテンツ以外でも電子書籍やニュースコンテンツと組み合わせ「APEC」「モバゲー」などのニュース系ワードでも良い。コンテンツはユーザーが自発的に探すのではなく、端末を使っていないときにも常時勝手に探してくれる、そうまるで「コンシェルジュ」のようなサービスなのだ。

ここで注目したいのは、キーワードが同じであればコンテンツのジャンル(楽曲、動画、画像など)を問わず固定料金でダウンロード可能となるという点。ユーザーは特定のキーワードについてのコンテンツが欲しいのであって、コンテンツのジャンルがどうであるかというのは、配信側の都合でしかないからだ。

P2Pに対する偏見や技術的課題など、クリアすべき課題はたくさんあるが、このようなサービスがLTEと組み合わされれば絶対に使いたい、と思うのだがいかがだろうか?

次回以降も、LTEを利用したサービスを引き続き予言、提案していきたいと思う。

阿部聡也(あべ・そうや)
株式会社プライムサイト代表取締役。1972年生まれ。早稲田大学卒業後、司法試験を目指すが挫折。某レンタル掲示板サイトに就職し、ECサイト開発を経てブログ事業の新規立ち上げ、動画共有サイトの統括・立ち上げを経験。現在はモバイルでのソーシャルアプリの企画・運営に携わる。ガジェット、サブカル、マンガ、旅行、カメラが好き。
http://www.facebook.com/souya.abe

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